麦でお酒を作るためには、「麦」ではなく「麦芽」である必要があるということです。
はじめに
さて「モル活.com」は、まずモルト活動を名乗るにあたり麦芽(モルト)の謎を解いて行きます。
まず麦芽(モルト)ってこんなものなのですが、どう見ても普通の麦にしか見えないんです。
なのになぜ、わざわざ麦芽というのでしょう。
麦芽(モルト)
麦芽(モルト)についての調査
まず「モルト」とは何かをインターネットで調べますと、サントリーさんのホームページに以下のように記載されていました。
Q:「モルト」とはなんですか?
A:「モルト」とは麦芽のことです。
https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001721.html
というか、知ってる。私が知りたいのは、「麦」ではなく、なぜ「麦芽」と呼ぶのかなんです。
その答えは、酒の主成分であるアルコールとビールで言うところの泡を、作るためには、麦でなく、麦芽である必要があったのです。
まずお酒の成分であるアルコールや泡(炭酸ガス)を作るには、酵母(イースト菌)を使います。
この酵母は大きさ 約7〜9um(おおよそ100分の1mm)の卵のような形の単細胞の微生物で、こやつが糖分を食べると、その副産物として、アルコールと、泡(炭酸ガス)を生成するんです。
ちなみにワイン(ぶどう)とかシードル(りんご)とか、果物の果汁を使ってつくる酒は、そもそもジュースなので甘いので、これに酵母を入れれば、そのままお酒になります。
それが麦の場合、ただのデンプンなので、そのままでは甘くならない。これはお米を炊いたご飯が甘くないのと同じです。
ところが麦をそのまま水につけて、芽を出させると、芽の成長のため、芽の部分に酵素が発生します。
この酵素が、麦の粒(でんぷん)を糖分に変え、芽の成長を促すのです。
この作用を利用して麦のデンプンを糖分に変えて「麦汁」と言われる甘い液を作ります。
これを煮沸してから、冷却し、これに酵母を入れて醗酵したのがビールや、シングルモルトの蒸留前の液(もろみとも言う)となるのです。
そう、麦のままでは、甘い糖分とならないので、麦を発芽させて、酵素を発生させ、甘い液を作る。それが「麦(バーレイ)」ではなく「麦芽(モルト)」である理由です。
「モルト」の作り方
言葉でずらずらと説明したところで、あまりピンと来ないでしょう。
そこで、とてもわかり易い動画があったので、ご紹介です。海外サイトですが、やっていることは簡単なので、とてもわかり易いのではと思います。
スプリングバンク蒸溜所 フロアモルティング
この動画は、スコットランドのシングルモルト 6大地域の1箇所、キャンベルタウン地域の一大蒸溜所 「スプリングバンク蒸溜所」で行われている伝統的な、シングルモルトの作り方を紹介しています。
その中で、はじめに「フロアモルティング」という、これまた伝統的な方法で「麦」から「麦芽」を作っています。
まず小さいプールに「麦」を入れて、その後、水を張ります。
その後、麦を水につけてしみ込ませたあと、水を抜き、その麦を床に広げて、空気に触れさせて、発芽させます。
この工程を見ていますと、プールから、スコップで麦をすくって、わざわざ一輪車に移動させて、その後、野球のグランド整備に使われるトンボのようなもので広げています。
どこかプールの一箇所を開けられるようにしてあれば、そのままトンボで床に広げることが出来て、こんな重労働いらないのではと、ツッコミどころ満載ですが、これは伝統の製法を守るために行われているので、仕方なしですかね。
この後工程については、またの機会に紹介させて頂きますが、スプリングバンク蒸溜所、モルティングから、最後の出荷まで、めちゃくちゃ人手がかかってますね。
スプリングバンク蒸溜所のモルトは、大量生産されている一般的なシングルモルトと比較すると、約2倍以上の価格ですが、やむ無しといったところでしょうか。
ちなみに、スプリングバンクはオイリーで、塩辛いのが特徴的なモルトです。ぜひお試しあれ。